アイテムのドローンの取り組み

期待される水中ドローンの活用と水中産業への可能性│水中ドローン

2023.10.06
期待される水中ドローンの活用と水中産業への可能性│水中ドローン

こんにちは。ドローンナビステーション編集部です。
ドローンと言えば空。空の産業革命と言われる無人航空機ドローン。しかしドローンは今や海の中でも活躍の場を広げています。


海の産業革命「水中ドローン」

水中ドローン(ROV)の普及を推進する国内初の団体「一般社団法人日本水中ドローン協会」は水中ドローン(ROV)及び水中ロボットの運用上の環境整備・発展・成長の促進を目的として、新たな水中事業の展開を支援している団体です。

水中ドローンとは、潜航が可能な有線式の小型無人潜水機の通称です。操縦者は船上や陸上から遠隔操作により機体の操縦を行い、リアルタイムの水中映像を見ることができます。


2027年国内市場規模は、約610億円へ

水中ドローンの世界市場規模は2020年から、年間平均+11.7%で成長し、2027年に約9600億円へ、国内市場規模はそれを上回る+12.9%の成長率で約610億円へと急成長することが見込まれています。

国内市場では、水中ドローンの防衛・安全関連利用に次いで、商業利用が大きな比重を占め、海洋土木・インフラ・水中構造物・船舶点検、水難救助、水産業、プラント等の分野において大きな注目と期待を集めており、実装が確実に広がっています。

※出典:一般社団法人日本水中ドローン協会「水中ドローンの市場規模と可能性」






水中ドローンでできること

・フライトコントローラー、ジャイロコンパス、圧力センサー(水圧・深度計測)、推進器(スラスター)を搭載し、機体の制御が可能。
・カメラとLEDライトを搭載し、水中の映像を受信することが可能。
・深度、方位、自己機体の傾きなど、機体情報をリアルタイムに確認することが可能。
・オプション機器拡張が可能。作業の幅が拡大。

では「水中ドローン」は、現在どのように活用されているのでしょうか。
水中ドローンの活用は、人の入れないような狭小箇所や水深40mを超える水中、濁りや流れの強い水中での点検や作業において、安全性の向上や省力化、コスト削減など大きな期待を受けています。

日本国内においては、港湾や河川の護岸の点検、プラントの水設備点検等にも導入が進んでいます。また、今後洋上風力発電建設に水中ドローンは必要不可欠とされており、海洋建設の場面への導入も期待されています。
洋上風力発電以外にも「スマート漁業」「スマート養殖」といった水産一次産業でも、国の後押しによる産業実装が広がり、水中産業への発展に向けて期待が高まっています。



水中ドローンの活用が期待される具体的なシーン

※インプレス社発行の水中ドローンビジネス調査報告書2021より





ブルーエコノミーへの貢献

単に海洋を利用した経済活動そのものを指す用語として用いられることもありますが、世界銀行では「海洋生態系の健全性を維持しながら、経済成長、生計の向上、雇用のために海洋資源を持続的に利用すること」と定義しています。

ブルーエコノミーは、現在、そして未来の世代のために、海を持続可能に管理、保護、保全するためのアクションを今始める必要があるという考えの下、海の生態系システムの健康を含む海上の経済セクターの発展に加え、人々のより良い生活を目指す考え方です。
海を守りながら経済や社会全体をサステナブルに発展させることを前提とし、SDGs(持続可能な開発目標)の目標の14「海の豊かさを守ろう」に大きく貢献するブルーエコノミーに、水中ドローンは必要不可欠と言えます。

ブルーカーボンと水中ドローンの関係

ブルーカーボンは、海や湖に生息する植物が空気中の二酸化炭素を吸収して蓄えることを指します。これは地球温暖化の進行を遅らせる役割を果たし、環境保護にとって非常に重要です。
しかし、このブルーカーボンの量を正確に知ることは一般的に困難です。そこで、水中ドローンが役に立ちます。

水中ドローンを用いることで、海や湖の中に入ってブルーカーボンの状況を調査することができます。これらのドローンはカメラやセンサーを装備しており、海の中の様子を覗き見て、植物がどれだけの炭素を蓄えているかを調べることができます。また、広い範囲の海を調査することができ、人間がアクセスするのが難しい場所や深い場所にも行くことができます。

これにより、ブルーカーボンの状況をより広範囲で調査することが可能になり、環境保護活動や政策立案に役立つデータを提供します。さらに、人間が直接海に入るのは危険な場合もありますが、水中ドローンなら安全に調査を行うことができます。効率的に動き、多くの情報を早く提供することも可能で、得られたデータは研究者や政策立案者にとって価値のある情報を提供し、ブルーカーボンの保護活動や研究に貢献します。

このように、水中ドローンはブルーカーボンの調査や保護活動において重要なツールとなっており、私たちの海の健康を保つ助けとなっています。





未来に向けた産業用ドローン「水中ドローン」

今回は空だけではなく、海でも活用されている水中ドローンについてお話しました。
産業の発展は地球環境の保全も共に考えなければなりません。ドローンは発展と保全双方に活用することができ、未来に向けた大きな可能性を秘めていると言えます。


ドローンは現在、娯楽、映像制作、航空写真、物流、農業、防災活動、監視、測量など様々な分野で利活用が始まっています。それに伴ってプライバシーや安全上の懸念、飛行制限区域の把握などドローンを飛行させるために必要な知識と安全な飛行技術の習得は必須です。
卒業制作や趣味の空撮、動画制作などでもドローンが活躍し、ビジネスでもホビーでも今後さらに活用用途が広がります。

弊社が運営するドローンスクール「空ごこち」では機体購入のサポートも行っています。シニアの方や学生の方のご相談、女性のジョブチェンジなど、ドローンについてご相談、お問い合わせはこちら。

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