不審なドローンの飛行を制御するセキュリティーシステム「アンチドローンシステム」とは│ドローン×技術
対ドローン対策「アンチドローンシステム」
アンチドローンシステムとは、ドローンの普及とビジネス利活用の増加に伴って開発されたドローンの飛行制御システムです。プライバシーの侵害や安全な空域の侵害、セキュリティの脅威、および悪意のある使用による損害などの懸念やリスクを管理し、危険を未然に防ぐための対策です。
「アンチドローンシステム」とは具体的にどんなものか
アンチドローンの技術に対する国内での特許出願が始まった2013年から2016年にかけて、テクノロジー企業のアンチドローン技術出願が増え、2016年頃からは実務的なアンチドローンシステムが様々な分野で導入、運用されています。
アンチドローン技術は、飛来するドローン犯罪を抑止するセキュリティ技術全般を指し、空中監視、識別、迎撃という「検出、識別、無力化」を達成する技術です。
例えば「アンチドローン」はテロや犯罪、プライバシー侵害、監視、操作ミスによる事故を起こす悪質なドローンを無力化する、ドローンを以ってドローンを制するアンチドローンシステムで使われるドローンのことを言います。
つまり、特定の空域に入ってきた小型の物体を探知し、それがドローンであるか、あるいは鳥などの飛行体であるかを識別、承認を得ていないドローンによる侵入であることが判明次第、無力化するのがアンチドローンの役割です。
アンチドローンのメカニズムとは
対ドローン対策ではドローンの防衛に携帯型ドローン妨害器（ジャマー）が使用されます。
ジャマーは制御信号とGPS（オプション）の信号を遮断し、ドローンが方向性に必要な信号を受信できなくなり機体が強制的に着陸させられることで危険性がなくなるというメカニズムです。この方法で危険ドローンを妨害するメリットは「ドローンにダメージを与えないこと」です。
例えば欧米諸国では、違法・無許可で飛行するドローンを無力化するために、当該ドローンに照準を当てて電波干渉により強制的に着陸させる装備として「ジャミングガン」（電波銃）と呼ばれるものが実用化され、軍や治安当局等により使用されています。
アンチドローンの必要性
アンチドローン市場の需要は増加しており、2033年末までに20億米ドルを超えると予想されています。テロや違法行為に対するセキュリティを提供するために、軍事分野でのアンチUAVシステムの需要が一段と増加すると予想されます。
また、小型ドローンの利用しやすさにより、アンチドローン市場への投資も大幅に増加しています。
例えばアンチドローンには、ドローンの制御信号とGPS（オプション）の信号を遮断するジャマーや、ドローンの機体のいくつかの重要な部分を破壊するレーザーシステムなどがあります。
日本では2016年頃からアンチドローンシステムが導入、運用されています。ネットで不審ドローンを捕獲するという方法や、電磁波によってコントロールを邪魔したり、銃火器で撃ち落としたりする方法などが考えられます。
ドローンは小ささと高い機動性から、いつ、どこから侵入してくるのか、正確に発見することが非常に困難です。ドローン対策には、遠方で目標の早期探知を可能とするレーダ、ドローンの発する電波を広範囲で検知できるRFセンサなど、目視だけでは覆い切れなかった、広い範囲を補う新たな手段が有効です。
また、特定の場所や施設周辺には、ドローンの飛行を制限するエリアを設けることも可能です。ドローンによる盗撮行為を目撃した場合は、速やかに関係機関や警察へ通報する必要があります。
カメラ付きドローンの広まりに合わせた必然のセキュリティー対策と言えます。
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日本における対ドローン対策
2015年に制定されたドローン規制法により、一定の重量や飛行範囲を超えるドローンの運用には許可が必要です。
警察などの法執行機関は、不審なドローンの監視や取締りを行っており、違法なドローンの運用や飛行に対して法的措置を取ることがあります。さらに、主要施設やイベント会場では、ドローンジャミング装置が導入され、不審なドローンの飛行を阻止することが可能です。
つまりこれらの対策は、ドローンによるセキュリティ上やプライバシー上の懸念を管理し、安全な社会空間を維持するために取り組まれています。日本における対ドローン対策は、法規制と技術的な取り組みの両面から行われています。
法規制では、2015年にドローンの運用に関する法律が制定され、一定の重量や飛行範囲を超えるドローンの運用には許可が必要とされ、飛行禁止区域や飛行制限区域が設定されています。
また、技術的な取り組みでは、主要な施設やイベント会場、空港周辺などでは、ドローンの監視システムが導入されています。これには、レーダーや光学センサー、音響センサーなどを活用し、不審なドローンの飛行を検知し、警戒や対策を行うことが可能です。
また、警察や自衛隊などの機関が、不審なカメラ付きドローンの監視や取り締まりを行い、違法な運用や飛行に対処しています。さらに、一部の施設ではドローンジャミング装置を導入し、不審なドローンの飛行を阻止する取り組みも行われています。
日本では東芝が対ドローンセキュリティシステムの開発を行い、東芝インフラシステムズが開発したカウンタードローンシステムでは実際に不審なドローンを生け捕りにし「二次被害を出さずに安全・確実に不審なドローンを地上に下ろす」ことに成功しました。これは対ドローン対策の技術として画期的な成功事例と言えます。
カウンタードローン（Counter-drone）とは、ドローンを対象とする対策や対抗手段を指します。
主に不審なドローンの検知、追跡、および制御を行うための技術や装置を指し、これらの技術や装置はドローンの不法な使用や悪用からの防衛に使用されます。
カウンタードローンの技術には、レーダーや光学センサー、ジャミング装置、威嚇装置などが含まれます。これらの技術は、法域内の安全を維持し、プライバシーやセキュリティの懸念を軽減するために使用されます。
アンチドローンシステム市場の動向
世界的にドローンのビジネス利活用が拡大したことで、建造物を違法に撮影したり人物を無断で撮影し、個人が特定できるような形で拡散するなど、プライバシーを侵害するリスクが高まっています。これは、社会的に重要な脅威になるため、リスクを効果的に回避するためのアンチドローンシステムの需要を喚起する要因の一つになります。
アンチドローンシステムは、3Dでの空域追跡を行い、信号処理技術を用いて不審なドローンを正確に検出・識別します。多くの国の政府機関は、スポーツ会場、国境、刑務所、空港、軍事施設、公共・政府機関の建物のセキュリティを強化するために、アンチドローンシステムを利用するようになっています。
セキュリティ上の脅威に対する懸念が高まっていることから、住宅地、商業施設、産業スペースなどで、アンチドローンシステムの需要が今後さらに拡大すると予想されます。
まとめ
近年ドローン技術の発展により、空撮や調査、運搬など様々なシーンでドローンが活用されるようになりました。2022年12月には改正航空法が施行される等、ドローンのビジネス利活用は更に高まってきています。
一方で、ドローンによる事件や事故、犯罪行為などへの悪用リスクも高まると考えられ、実際に国内外でドローン運用に係るインシデントが散見されています。
産業用ドローンやホビードローンなど、今後さらにドローンの利活用が増加していくことが予想される中、人や建物の上空を飛ばすことに関わるリスクを未然かつ迅速に対処すべく、さらなる技術の開発と普及が期待されています。
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