いま注目の「農業用ドローン」。撮影用ドローンとは違う新たなビジネスドローンとしての価値│ド…
農業用ドローンは、農業業界におけるビジネス価値を向上させ、持続可能な農業実践を促進します。この技術の利点を最大限に活用す…
こんにちは。ドローンナビステーション編集部です。
昨今、様々なシーンにおいて「ドローンの利活用」「ドローン利活用の有用性」が語られることが増えています。
ドローンは今までにないソリューションであり、非常に可能性に満ちたツールです。一方で、ドローンを導入することを目的化してしまうと、せっかく導入しても上手く運用できず、いままで行ってきた手法と比べて
「実際それほど効果が無かった」
という事態になりかねません。
自社のビジネスにドローンを導入し、本当の意味で「現場業務に役立つ運用」を行うためには、行き当たりばったりではなく、戦略的かつ計画的な行動スケジュールが不可欠です。
今回のコラムでは、企業がドローンを導入する場合、どのようなステップを踏めば、より良い選択が出来るのかをまとめてみました。
ドローン導入の第一歩となること。
それは、目的を明確にし、仮定でもいいので達成すべき具体的な目標を設定することです。
例えば農業分野で農薬散布用ドローンを導入する場合を想定すると、「現行の手法だと○人で○時間かかっているところを、ドローンを導入することによって○人で○時間の作業時間で終わらせ、重労働の業務比率を○○%削減する。結果○○%の経費削減を行いたい」といった具体性です。
具体的な目標が定まることにより、その目標を達するためにはどのようなドローンを導入すればよいのかや、そのドローンを導入するためのコストなどが明確になります。あるいは、実はドローンで解決できないことが判明するかもしれませんし、ドローン以外のソリューションを導入したりしたほうが良いことが分かるかもしれません。
このように仮定で立てた目標が達しないことが分かったとしても、大まかな方向性は把握することが出来ます。
とにかくドローンを使いたい、というモノありきでの導入では、事業にあった適切なドローンの選定ができません。仮でもいいので、「目的と目標を具体的に定める」ことが重要です。
それによってドローン導入後の効果・効用が描きやすくなり、より具体的に利活用内容、利活用方法を検討することが出来るようになります。
ドローン導入で次に必要なことは、現状の業務プロセスを詳細に分析し、どのような改善を目指すかを明確にします。これはドローンに限らず、新しいことを取り入れる場合には必ず必要なことかもしれません。
例えば、太陽光パネルの点検でドローン導入を考える場合を考えてみましょう。
現在の点検方法、例えば太陽光パネルを人が目視で点検する場合の作業時間やコスト、取得したデータの解析や報告書の作成にかかる時間などを、客観的に分析して把握する必要があります。
先ほどの事例で一例をあげますと、例えばドローンを導入することにより太陽光パネルの画像取得の効率は劇的に改善したが、実はそのあとのデータ解析や報告書の作成の方が膨大な時間が発生していて、データ取得から報告書の作成までのトータルでは、たいした改善に繋がらなかったということもあり得ます。
その場合、もしかするとドローンの導入よりも、データ解析や報告書の作成の方をAIシステムで自動化したほうが、はるかに効率化が図れたかもしれません。
このように、ドローンを導入することが本当に正しいのかは、現状の業務プロセスを細かく把握していないと判断できない場合があります。このような解像度の高い業務理解には、直接現場で携わっている担当者の協力も欠かせません。
ドローン導入を想定する際には、必ず具体的な導入スケジュールが必要です。
また、スケジュールだけでなく、予算、日程、関連する人員の配置、操縦訓練なども同様です。
ドローンは機体を買ってきて終わり、ではありません。操縦ライセンスもすぐに取得できるものではありませんし、飛行の許可申請の手続きや保険の加入、メンテナンスなど、様々なタスクが存在します。
また、ドローン運用に対してのリスク管理や、導入後の業務評価基準の策定も重要です。導入前から精緻に想定することは難しいかもしれませんが、ここをないがしろにすると、導入後にいわゆる「想定外」が次々に襲ってきて、運用に支障をきたしかねません。
自分に合ったドローンは何なのか。
これさえ間違わなければ、導入に関しては8割がた成功したと言えるかもしれません。そのためには、世の中に存在する、様々な種類のドローンのすべてのスペックを把握し、自分の会社に合ったドローンを選ぶ必要があります。
しかし、そんなことは現実的ではないですよね。そんな場合は必要に応じて、すでに知見を蓄えている外部の協力を仰いでもいいかもしれません。
私たちアイテムでは、ドローンスクール「空ごこち」大阪校を通して人材育成や、各種ドローンソリューションのコンサルティング、導入ドローンの選定からアフターサポートまで、一貫したサポートを行っています(PR)。
信頼できる相談先を見つけることが出来れば、導入の成功率は格段に上がるでしょう。
ドローンが一般的な設備(コンピュータや製造機械など)と決定的に違うのが、運用すると「航空法」という法律がダイレクトに関わってくるところです。
たとえ10万円程で手に入るドローンでも、立派な「航空機」です(厳密に言いますと無人航空機ですが、航空機の一種なのでこのように表現します)。航空機というと、エアバスやボーイングの旅客航空機と、広義の意味では同じものです。航空機は様々な法律の下、厳密な運用がなされていると想像できると思います。実はドローンも、それと同じくらいに厳格な法律下での運用が求められます。
ときどき見られるのが、航空法をあまり理解せずに気軽な気持ちで「この程度なら飛ばしても大丈夫だろう」と判断してしまい、法律違反の飛行をしてしまうケースです。自分では法律に違反する飛行をしているという認識すらなく、後日何かのきっかけ(SNSなど)で発覚し、大きな問題に発展するケースも、ままあります。
企業として飛行させる以上、ドローン運用に関する法的要件はしっかりと把握し、適切な許可・承認を取得する必要があります。また、社内でドローン運用のガイドラインなどを策定し、ドローンを運用する社員がこれを理解し遵守することも重要です。
当然ですが、ドローンは機体だけ購入しても、運用することはできません。
それを扱う「人」が、とても重要です。
ドローンの導入で一番理想的なのは、現場の運用をよく理解している人が、ドローンを扱えるようになることです。仮に、どんなにドローンの操縦が素晴らしい人がいたとしても、現行の現場業務を理解していなければ、効果を発揮しません。
同様に、現場のプロフェッショナルがいたとしても、ドローンの理解が無ければどのように導入すればよいのかを想像することが出来ません。
ドローンを利活用するための導入目的と利点を社内で共有し、全従業員が新技術の導入に積極的に関与するようになると、相乗効果で様々な運用方法が生まれるようになるでしょう。
色々なことに言えることですが、新しい技術は、導入直後から100%の結果は発揮しません。
当然のことながら、現行の業務はすでに最適化されており、ドローンのような新しい道具を導入するとにより、一時的に効率が落ちることもあり得ます。
まずは小さくスタートし、ドローンの有効性を評価します。この段階は、ドローンの性能や効果を把握するために重要です。
小さな運用を積み重ね、問題点や改善を特定し、成功事例があったらそれを積み重ねて横展開し、本格導入に向けた準備を行います。
まずはテスト的に導入し、成功を踏まえた上で、全面的な業務でドローンを利活用していきます。
この段階では、ドローンありきで業務が行えるよう業務フローの再設計や、必要に応じて追加の機材や人的リソースを行う必要があるかもしれません。
また、ドローン運用が上手く行って良かった。で終わらせることなく、効果を定期的に評価し、目標達成度、コスト削減、業務効率化などどれくらいの成果があったかを測定することが重要です。
ドローンは何でもできるというわけではありませんが、上手く使うことが出来れば、企業にとって大きな効果をもたらします。
成功させるためには、ドローン自体の理解も重要ですが、それと同じくらいに、解像度の高い自社業務の理解が必要です。そのうえで初めて、計画的かつ戦略的なアプローチが出来るようになります。
今回は、ドローンを効果的に導入し、その効果を最大限に引き出すための段階をご紹介させていただきました。
この記事が、ドローンを最大限に活用し、新たな価値を生み出していける手助けになることを願って、終わらせていただきます。