ドローン機体メーカー

日本で第二種型式認証を取得した「DJI Mini 4 Pro」はどんな機体?│ドローン×型式認証

2025.07.02
日本で第二種型式認証を取得した「DJI Mini 4 Pro」はどんな機体?│ドローン×型式認証

「DJI Mini 4 Pro」が第二種型式認証を取得した背景

DJIの「DJI Mini 4 Pro」が第二種型式認証を取得したことは、すでにご存じの方も多いでしょう。
ドローンが「第二種型式認証」を取得するというのは、そのドローン機体が国土交通省の定める安全・性能基準を満たしていることを、型式(モデル)単位で証明された状態を意味します。
これにより特定の飛行形態での運用がしやすくなり、実務や産業利用の現場では非常に重要な認証といえます。

「DJI Mini 4 Pro」が第二種型式認証を取得できた背景には、単なるスペックの高さだけでなく、
「安全性・信頼性・運用性に関して国の基準を満たす設計・実装がされているかどうか」
が総合的に判断されたことがあります。
なぜMini 4 Proがこの認証を取得できたのか、その根拠をスペックと制度の観点からお話しします。


ドローン「第二種型式認証」の条件

まず、第二種型式認証はレベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)に対応するための認証であり、機体には以下のような要件が求められます。

① 全方向の障害物検知・回避能力があること
Mini 4 Proは前後・左右・上下・下方に加え、3D赤外線センサーも備えた全方向障害物検知システムを搭載しています。これにより、飛行中の衝突リスクを抑える機能が設計段階から実装されており、国の「衝突回避能力に関する要件」を満たすと判断されたと考えられます。

② 安定したGNSSとホバリング精度
GPS、Galileo、BeiDouの複数衛星システムに対応し、GNSSなしでも下方ビジョンセンサーによる高精度なホバリングが可能です。これは、通信障害や電波干渉があっても安定した位置制御が可能であることを意味し、信頼性の高い飛行制御として認められたと見られます。

③ 耐風性能・運用高度・通信の安定性
最大風速抵抗10.7 m/s、高度4,000 mまで対応しており、さらにDJI O4伝送システムにより**高精度で安定した通信(最大20 km/1080p60fps)**を確保しています。これにより、目視外飛行においても映像伝送や機体制御に支障が出にくい仕様であると認められたと考えられます。

④ 軽量でありながら十分な冗長性を確保
Mini 4 Proは249g以下という超軽量ながら、ジンバルの縦横回転機能や撮影時の安定性、バッテリーの選択肢(標準/Plus)など、運用の柔軟性や安全性を確保した設計が評価されています。軽量機であっても基準を満たせば認証対象になり得ることを示した機体です。

⑤ 設計・製造の品質管理が徹底されている
第二種型式認証では、製品の「設計」だけでなく「製造・量産体制」も審査対象になります。DJIはこれまでの実績と製造品質において世界的な評価を得ており、Mini 4 Proもその基準を満たす量産体制が整っていることが、認証取得において有利に働いたと推察されます。

つまり、Mini 4 Proが第二種型式認証を取得できたのは、高性能なセンサー類・安定した制御システム・安全な設計思想が機体全体にバランス良く盛り込まれており、それが国が求める安全性・信頼性の基準を総合的に満たしたと判断されたからです。
見た目のサイズや重量に反して、飛行リスクを十分にコントロールできる設計が認められたと言えます。







そもそも「型式認証」とは

そもそも「型式認証」とは、どんなものでしょうか。
これは、2022年12月の航空法改正で導入された制度で、ドローンの産業利用、特に
「レベル4飛行」=有人地帯での目視外飛行
といったリスクの高い飛行を実現するために必要な法整備の一環として設けられました。

ドローンの機体そのものが国の定める安全・性能基準に適合しているかを、国土交通省が型式(モデル)ごとに審査し認証する制度です。

これまでのドローン運用では、飛行ごとに人や飛行計画に対する個別の審査が必要でした。
しかし、今後ドローンを物流や災害対応などで広く使っていくためには、それでは時間もコストもかかりすぎるため、機体自体にあらかじめ安全性を認めておくことで、現場での審査や手続きを簡略化しようという考えが型式認証の背景です。




型式認証の第一種と第二種とは

型式認証には「第一種」と「第二種」があり、第一種は基本的な設計・構造に対する審査であり、第二種はさらに耐久性や信頼性などの運用面まで含めた総合的な審査です。

「DJI Mini 4 Pro」が取得した「第二種型式認証」は、レベル4飛行のような高度な飛行に対応するためには必須で、国から「このモデルなら一定の条件下で安全に飛べる」と認められた証であり、それを取得している機体は、機体ごとの個別審査を省略できたり、飛行申請がスムーズになったりするメリットがあります。

簡単に言えば、型式認証とはドローンという製品に対して国が安全性の太鼓判を押す制度であり、それにより現場での利活用を促進しようとする仕組みです。

ドローンの社会実装を本格的に進めるための、重要な制度的土台と言えます。


1. なぜ型式認証が必要になったのか?

ドローンの商用利用が進むにつれ、人や建物が多い場所での飛行(例:市街地での荷物配送や災害時の偵察など)が求められるようになりました。これまでは、個別の操縦者や飛行計画ごとに安全性を審査していましたが、それでは手間もコストもかかりすぎます。

そこで、機体そのものに「安全性の保証」を与える制度として型式認証が導入されました。つまり「この機体は国が安全と認めた設計なので、個別の審査を簡略化してよい」とする仕組みです。

2. 型式認証には二種類ある

第一種型式認証:

・主に安全性に関する基本的な構造・設計が審査対象となります。
・「設計図通りに作られていて、基本機能を満たすか?」が問われます。
・一部の飛行形態に使えるが、リスクの高い飛行(例:レベル4)には単体では不十分な場合も。

第二種型式認証(より重要):

第一種の審査に加えて、信頼性や耐久性など長期運用における性能も審査対象になります。
・いわば、自動車の「型式指定車」と同じように、フルスペックでの信頼性保証が求められます。
・レベル4飛行に対応するには、こちらの認証が必要です。


3. 型式認証を取得すると何が変わる?

・同じ型式のドローンであれば、機体ごとの審査が簡略化され、運用開始までの手間が大きく減る
・航空局への飛行許可申請時にも、審査が優遇されやすい(国が安全性を認めているため)。
・ドローン開発企業にとっては、認証取得が製品の信頼性を示すマーケティング要素にもなる。




日本の第二種型式認証を取得した「DJI Mini 4 Pro」とは?

それでは「DJI Mini 4 Pro」のスペックを見ていきましょう。

重量:249 g未満(インテリジェントフライトバッテリー+プロペラ+microSDカード含む)

サイズ:折りたたみ時 148×94×64 mm/展開時 298×373×101 mm

最大飛行時間:34分(標準バッテリー)、Plusバッテリーで45分

飛行性能:最大水平速度16 m/s(Sモード)、最大上昇・下降速度5 m/s(S/Nモード)、Cモードでは3 m/s

耐風性能・飛行高度:最大風速抵抗10.7 m/s、高度4,000 mまで

GNSS・ホバリング精度:GPS+Galileo+BeiDou対応。ビジョンホバリング時±0.1 m、GNSS時±0.5 m

カメラ:1/1.3″ CMOSセンサー、静止画12MP/48MP(JPEG・DNG)、動画4K HDRで60fps、4Kスローモーション100fps、10bit D‑Log M、True Vertical(縦撮影)対応

ジンバル:90°回転対応、縦位置映像に対応

伝送技術:DJI O4映像伝送(1080p/60fps、最大20 km)

障害物検知:全方向検知(上・下・前後左右)、ビジョン+3D赤外線センサー

バッテリー:標準 2,590 mAh/77.9 g、Plus 3,850 mAh/121 g。容量それぞれ約18.96 Wh/28.4 Wh

対応温度:−10℃~40℃



DJI Mini 4 Proがすごいと言われる理由は、「249g以下」という軽量機でありながら、これまで上位モデルにしか搭載されていなかったような本格的な撮影性能、安全機能、操作性をぎゅっと詰め込んでいる点にあります。
つまり、「小型機なのにプロ仕様」という点が非常に評価されています。

最大の特長「全方向障害物検知

Miniシリーズでは初めて、前後左右上下すべての方向に障害物検知センサーが搭載され、障害物の自動回避や停止が可能になりました。これは、従来もっと大きく高価なモデルにしかなかった機能であり、安全性が飛躍的に向上しています。

特筆すべき「カメラ性能

1/1.3インチのCMOSセンサーを搭載し、4K60fpsのHDR動画、さらには4K100fpsのスローモーション撮影まで可能です。また、縦向き撮影(True Vertical Shooting)にも完全対応しており、SNS用の動画や写真をそのまま縦構図で撮影できます。色の再現性も10bit D-Log M対応で、編集耐性の高い映像素材が撮れる点も、映像制作者にとって魅力です。

伝送技術の進化にも注目

DJI O4という最新の映像伝送システムにより、最大20km(日本仕様では距離制限あり)までの安定した通信と、1080p/60fpsのリアルタイム映像表示が可能になりました。つまり、これまで以上に遅延が少なく、より正確な操作ができるということです。

軽量で手続き面のハードルが低い

手続き面が簡略化されることも大きな強みです。
249g未満のため、日本国内では原則として無人航空機登録義務やリモートID搭載義務の対象外(※一定条件を満たす場合)です。それでいて、バッテリー交換で最大45分の長時間飛行ができる点も実用性を高めています。

最も注目される点「このサイズで第二種型式認証を取得」

第二種型式認証を取得したことにより、将来的にはレベル4飛行など高度な業務用途にも展開可能であることが示され、ホビー用途から商用まで幅広いユーザーにとって「安心して使える小型機」の位置づけとなっています。

「DJI Mini 4 Pro」のすごさは、「軽量・手軽・安全・高画質」という、これまでトレードオフだった要素をすべて両立している点にあります。初めての1台としても、プロのサブ機としても通用する非常に完成度の高いドローンです。

「DJI Mini 4 Pro」は小型・軽量ながら高性能カメラ、長時間飛行、全方向センサー、強力な伝送機能を兼ね備えたモデルで、縦撮影やプロ仕様の映像制作にも対応できる仕様となっています。



ドローン「国家資格」を取得する必要性の明確化

DJI Mini 4 Proが日本で第二種型式認証を取得したことにより、ドローン操縦における「国家資格(無人航空機操縦者技能証明)」を取得することの意味と意義がより明確になりました。
これは、ドローンの利活用が制度的に新たな段階に入ったことを意味します。

まず、第二種型式認証とは、国が機体の設計・性能・安全性を総合的に審査し、「このモデルなら特定の条件下で安全に飛行できる」と公式に認める制度であることはお話ししました。
これにより、その型式のドローンは、個別の機体ごとに細かい技術審査を受けなくても、比較的スムーズにリスクの高い飛行申請(例:レベル4)を行えるようになります。
ただし、それと引き換えに、操縦者側にはより厳格なスキルと知識が求められるようになることが重要で、ここで国家資格の必要性が生まれます。

無人航空機操縦者技能証明は、飛行リスクの高い運用(例:市街地での目視外飛行)を行うために国が定めた資格制度で、特に「一等資格」がレベル4飛行の前提とされています。つまり、「型式認証された安全な機体」+「国家資格を持った信頼できる操縦者」の組み合わせによって、はじめてレベル4などの高度な飛行が認められる構造になっているのです。

これまでは、こうした高度飛行を担う機体が限られており、資格を取っても実務で使える機会が少ないという声もありました。しかしMini 4 Proのような軽量かつ高性能な認証機が登場したことで、個人や中小事業者でも認証済みの機体を扱い、国家資格を活かして実際にレベル4を視野に入れた運用ができる現実的な選択肢が広がったと言えます。

まとめると、DJI Mini 4 Proの型式認証取得は、国家資格が制度上だけでなく実務においても価値を持つようになった転機であり、今後のドローン利活用において「機体の信頼性」と「操縦者の信頼性」の両輪を整える意義を象徴する出来事となっています。


「日本で第二種型式認証を取得した「DJI Mini 4 Pro」はどんな機体?」まとめ

「DJI Mini 4 Pro」は、機体重量249g未満という超小型ながら、全方向障害物検知、1/1.3インチセンサー搭載の高性能カメラ、最長45分の飛行時間、最新のO4映像伝送など、プロ仕様の機能を多数搭載したモデルです。

特筆すべきは、このクラスでは初めて、日本で「第二種型式認証」を取得した点であり、これは国が定める安全性・信頼性の基準を満たしていると公式に認められた証です。

これにより、将来的にはレベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)での活用も視野に入り、ホビー用途にとどまらず、物流・点検・災害対応などの業務用途にも応用可能な機体として注目されています。

DJI Mini 4 Proは「軽量=簡易」という従来のイメージを覆す、次世代の本格派小型ドローンと言えます。





ドローンの資格取得なら国土交通省認定登録講習機関「空ごこち」大阪校がおすすめ

ドローンの国家資格は民間団体が運営するドローンスクールのうち、国が認めた登録機関での講習が対象です。講習を受講したあとに学科試験と実地試験を行います。弊社が運営するドローンスクール「空ごこち」大阪校は国土交通省認定登録講習機関のため、国家資格取得コースの受講が可能です。

初学者コース、経験者コースともに丁寧な指導の下、じっくり資格取得に向けた講習が受けられるため、

「初心者で自信がないが、将来ドローンを使った仕事につきたい」
「認定資格は持っているが取得してから時間が空いている」

とお悩みの方も安心いただける環境です。


「空ごこち」大阪校なら初心者の方も経験者の方も安心

初心者の方は法規制の知識がまったくない方でも、空ごこち独自のテキストを使ったカリキュラムで楽しくしっかり学ぶことができ、経験者の方ならビジネスに活かせる実践的な実技講習で、ビジネスドローンの操縦技術が身につきます。
受講生のライフスタイルやニーズに合わせて受講スタイルを選択できることも、お仕事をされている方や学生の方にとって大きなメリットと言えます。

農業や測量などの業務だけでなく、空撮や撮影など動画制作でも利活用が増えているドローン。
「本当に資格は必要なのだろうか」
といった疑問や質問も、まずはお気軽にご相談ください。