
「水中ドローン」の技術革新と環境分野だけではない利活用の可能性│ドローン×技術
水中ドローンの技術革新は、いくつかの重要な点で進展しています。まず、センサー技術が飛躍的に向上し、高精度のカメラやセンサ…
「ビジネスドローン」とは、業務や商用目的で活用されるドローン全般を指す言葉です。
これは「趣味・レジャー目的」で飛ばす個人用のホビードローンと区別するための表現で、法律的な分類というよりも、用途や活用目的による区別です。
「ビジネス用ドローン」は分野に分けて語られることが多く、目的によって機体の仕様も異なります。
今日は産業用ドローンの利活用が進んでいる「農業分野」についてのお話です。
ビジネス用ドローンを掘り下げていきましょう。
まず一つ目は、「産業用ドローン」と呼ばれるカテゴリで、農業・建設・物流・災害対応・測量・インフラ点検など、現場の作業効率を高めたり、人の代わりに危険作業を行ったりするためのものです。たとえば農薬散布や橋梁点検、太陽光パネルの異常検知などは人が行うと手間や危険を伴いますが、ドローンなら短時間かつ安全に実施できます。このような機体は、耐久性や積載能力(ペイロード性能)、自律飛行の精度などが求められます。
二つ目に、「撮影・映像制作」などメディア向けの商用ドローンがあります。これは映画・CM・イベント・観光PRなどに使われるもので、美しい空撮映像やダイナミックなカメラワークを実現するために用いられます。高解像度カメラやジンバル(揺れ防止機構)が搭載されており、滑らかで安定した撮影性能が最も重視されます。
また、最近では「警備」「監視」「マーケティング」「物流」など、他のビジネス分野にも用途が広がっています。たとえば、ドローンによる夜間パトロールやイベント会場の混雑把握、あるいは離島や山間部への物資配送など、社会課題の解決にもつながる活用が進んでいます。
つまり「ビジネス用ドローン」とは、個人の遊びやホビーとは異なり、業務上の目的で使われる実用的なドローン全体を指します。そしてその中には「産業用」や「撮影用」といった細かい分類があり、目的に応じて求められる性能や機能も変わってきます。ビジネスにおけるドローン活用は、今後も技術革新とともに多様化・高度化していくと考えられます。
皆さんが普段接するドローンというと、空撮で使われている「撮影用ドローン」が一般的かと思います。「DJI MAVIC 3」や「DJI MINI 3」はご存じの方も多いのではないでしょうか。
文字通り撮影するためのドローンで、空から美しい風景を撮るために特化しており、価格も一般的なカメラ(一眼カメラなど)と近く比較的手軽に買うことができます。
一方「産業用ドローン」とは、分かりやすく言うと撮影以外もこなしてしまうドローンです。
具体的には先ほどもお話ししたように、測量・監視・農業・点検など、用途は様々です。一般的に産業用ドローンは万が一のことがあっても墜落しにくいようなフェイルセーフ(安全装置)があり、価格も一般的な撮影用ドローンよりも高額な傾向にあります。
産業用ドローンは高額なので、安価な撮影用空撮ドローンよりも高品質な撮影が出来るのではと思われるかもしれませんが、実はそうとも言い切れない部分があります。産業用ドローンは撮影を主としていない機種も多く、撮影用ドローンでよく用いられる自動撮影モードもついていないのが一般的です。そもそもカメラは確認のみで、撮影用としては搭載されていないような機種も存在します。
また、コントローラに映る画面も撮影用ドローンと産業用ドローンとで大きく異なります。撮影用ドローンではなるべく撮影に集中できるよう、画面表示はシンプルです。一方、産業用ドローンになると、情報が画面上にたくさん並び、飛行状態が細かく把握できるようになっています。まるで航空機のコックピットみたいです。
こちらの動画は、DJIの産業用ドローンのコントローラに映る画面を録画したものです。様々な数値が並んでいるのがご覧いただけるかと思います。
大きく異なる撮影用ドローンと産業用ドローンですが、一方で共通する部分もあります。それは操作方法です。重さが10kgや20kgといった大型ドローンであっても、操作方法は重さ数百グラムの撮影用ドローンと似通っていることが多く、一度小さなドローンで操作方法をマスターしてしまえば、大型の産業用ドローンも少しの練習で飛ばせてしまうケースもあります。
通常のドローンスクールで操作できるのは主に撮影用の機体ですが、実はこれをマスターすると、産業用ドローンを含めて幅広い応用が利きます。
農業用ドローンとは、農作業の効率化や省力化を目的として、農業現場で活用される無人航空機のことを指します。従来、人手で行っていた作業を空中から迅速かつ均一に実施できるため、労働力不足への対応や生産性向上、環境負荷の軽減などに貢献しています。
具体的な用途としては、主に以下の4つに分類されます。
・農薬や肥料の散布
最も一般的な活用分野で、ドローンに搭載されたタンクに農薬や液体肥料を入れ、広範囲に均一に散布します。ヘリや人力に比べて、低コストかつスピーディーに作業できるため、特に水稲や果樹、茶畑などで普及が進んでいます。
・播種(はしゅ)・施肥
種や粒状の肥料を空中からまくことで、手作業に比べて短時間で大規模な対応が可能です。特に中山間地など、地形が複雑で農機が入りにくいエリアにおいて有効です。
・リモートセンシングによる圃場(ほじょう)管理
ドローンに搭載したカメラやセンサーを使い、圃場の作物の生育状況や病害虫の発生、土壌の水分量などを可視化します。これにより、**必要な場所にだけ農薬をまく「精密農業(スマート農業)」**が実現でき、環境負荷を減らしつつ収量を最大化する戦略的な農業が可能になります。
・作物の成長記録や分析
定期的にドローンで上空から撮影することで、作物の成長過程を時系列で把握できます。AIを活用してデータ分析を行うケースもあり、収穫時期の予測や異常の早期発見などにもつながります。
技術的な特徴としては、GPSによる自動航行機能、耐水・防塵構造、数十kgまでの積載能力を持つものなど、作業効率と信頼性を両立する設計になっています。また、散布の精度を上げるために、風速センサーや流量センサーを搭載している機種もあります。
農業用ドローンは、従来の手間やコスト、労働力の問題を軽減しつつ、農業の精密化・データ化を推進するための有力なツールです。特に、日本のように高齢化や後継者不足が課題となっている地域では、次世代の農業を支えるキーテクノロジーとして注目されています。
現在注目されている「農業用ドローン」は、単なる空撮用ツールとは異なり、農業そのものを構造的に変える力を持った“実働型”のビジネスドローンとして、その価値が急速に高まっています。
撮影用ドローンは主に映像や写真を美しく撮ることに特化し、広告や観光、エンタメ分野での「視覚的価値の創出」が目的です。それに対し、農業用ドローンの価値は、「実際に農業作業を担い、収量・品質・作業効率に直接的な影響を与える機能性」にあります。
たとえば、農薬散布ドローンは、従来人が背負っていた重いタンクや大型機械を不要にし、狭い圃場や中山間地でも短時間で均一な散布作業が可能にします。これは「人の代わりに働く」役割を果たしており、特に高齢化・人手不足の深刻な農業現場において、新たな労働力として価値が極めて高いのです。
さらに、センシング技術を搭載したモデルでは、作物の生育状況や水分・病害虫の状況を上空から把握できるため、データに基づいた施肥・防除の判断=精密農業(スマート農業)が可能になります。これは「経験と勘」に頼っていた農業を、テクノロジーによる再現性の高い営農スタイルへと進化させる力を持っています。
つまり、撮影用ドローンが「映像作品を生み出す道具」であるのに対し、農業用ドローンは「生産現場に直接作用し、結果に結びつける道具」です。そのため、単なる撮影用ドローンでは到達できない「収穫量の増加、コスト削減、労働力代替、環境負荷の軽減」といった事業性の根幹に関わる成果をもたらすのが、農業用ドローンの新しい価値だと言えるでしょう。
また、行政や農協との連携、補助金制度の対象にもなりやすく、地域全体での導入・実装に向けたインフラ要素としての位置づけがされつつある点も、撮影用ドローンにはない社会的な重要性を帯びています。
農業用ドローンとは「単に空を飛ぶカメラ」ではなく、農業という産業のあり方を変える、ビジネスドローンの“現場型・実行型”の象徴です。
「精密農業」と「スマート農業」は似たような文脈で使われることが多いですが、実は目的や技術の範囲、進化の段階が異なります。簡単に言えば、精密農業はスマート農業の“前段階”または“構成要素”の一つであり、スマート農業の中に精密農業が含まれる、という関係性です。
精密農業(Precision Agriculture)は、作物や圃場の状態を細かく把握し、それに応じてピンポイントで農業資材を投入する技術的手法です。「過不足のない管理で生産性と環境保全を両立すること」が目的です。
たとえば、以下のような取り組みが「精密農業」に当たります。
・衛星やドローンによる上空からの画像データを活用して、生育ムラを特定
・センサーで土壌の水分や肥沃度をエリアごとに分析
・エリアに応じて肥料・農薬・水を可変的に制御(可変施肥・可変防除)
このように、「同じ圃場内でも場所ごとに作物の状態は異なる」という前提のもと、それぞれに最適な管理を行うのが精密農業の本質です。
一方、スマート農業は、精密農業を含みながらも、より広範で統合的です。
AI・IoT・ロボット・自動運転・クラウド管理など、先端技術全般を活用して農業全体の効率化・高度化を図る考え方です。
精密農業のように資材投入の最適化を行うだけでなく、以下のような技術も含みます。
・自動走行の農業機械
・農作業の記録・分析・経営管理アプリ
・圃場カメラや環境センサーをクラウドで一括監視
・農業ロボットによる収穫や草取り
・AIによる収穫予測や営農提案
つまり、スマート農業は「生産管理・作業・経営・判断」すべてに技術を導入し、農業の“システム全体”をスマート化する構想です。
たとえるなら
・精密農業=特定作業の“最適化”に焦点を当てたテクノロジー活用
・スマート農業=農業全体の“構造改革”を狙う包括的なテクノロジー導入
と言えるかと思います。
1. データ収集と「見える化」
ドローンやセンサー(地中・葉面・気象など)によって、圃場の状態、作物の成長状況、温湿度、土壌の水分量などをリアルタイムで把握します。
たとえば、ドローンが空撮画像をAIで分析して、病害虫の発生箇所や生育ムラを可視化することで、現場の状態を「見える化」できます。
2. 精密農業(Precision Agriculture)
収集したデータをもとに、農薬や肥料、水を必要な場所にだけ、必要な量だけ投入するという考え方です。これにより、コストを削減しながら収穫量や品質を高めることが可能になり、環境への負荷も最小限に抑えられます。
3. 自動化と省力化
トラクターや田植え機、収穫機の自動運転化、ロボットによる作業補助、ドローンによる自動農薬散布など、人手不足の解消に直結する技術も導入されています。たとえば、高齢の農家でもスマホ一つで農薬散布が可能になれば、作業の負担は大幅に軽減されます。
4. 農業経営の効率化
クラウドサービスを活用して、日々の農作業の記録、作業計画、コスト管理、収支予測などを一元化・可視化できます。これにより、農業を「勘と経験」から「論理と分析」にシフトさせ、営農判断の精度が高まります。
農業人口の減少と高齢化
人手を補い、作業を代替する技術の導入が急務です。
気候変動や天候リスクへの対応
急激な天候変化にも対応できる「リアルタイム観測+即時判断」の体制が求められています。
持続可能性の確保
過剰な農薬・肥料の使用を抑え、環境負荷を下げながら収量を維持するには、データに基づいた管理が不可欠です。
新規就農者の支援
未経験者でもデジタル機器を活用すれば、短期間で効果的な農業を始められる可能性が広がります。
・ドローンによるリモートセンシング+可変施肥散布
・AIが解析した画像で病害虫を自動検出
・水田に設置した水位センサーと連動して自動で給排水
・自動走行する無人トラクターによる耕運作業
・スマホアプリで作業管理や生育予測、収穫量予測
スマート農業は、単なる「便利な機械導入」ではなく、農業そのものの再設計と効率化を進め、持続可能な一次産業の姿を作っていく取り組みです。
技術はあくまで手段であり、最終的なゴールは、農業者がもっと楽に、収益を上げながら、環境にも優しく働ける未来を実現することにあります。
農業の市場は、今後大きな変化と再評価の波の中で、縮小と成長が同時に進む複雑な局面に入ると予測されています。日本国内においては「農業人口の減少」や「耕作放棄地の拡大」など課題が山積する一方で、スマート農業や輸出強化、フードテックの発展といった技術革新や政策支援によって、新たなビジネス機会も生まれています。
主に農業従事者の高齢化と人口減、農地の減少が要因で国内市場は縮小傾向と言われていますが、「効率化」と「高付加価値化」が鍵であり、その一方で、少ない人員で効率よく高品質な農作物を生産する技術が急速に整いつつあります。
スマート農業の導入、ドローンやセンサーによる自動化、AIによる営農支援などが進めば、人的リソースの不足を補いながら、生産性を維持・向上させる可能性があるのです。
■ 精密農業
「場所ごとに違う作物の状態を的確に管理する技術」
■ スマート農業
「農業全体を先端技術で効率化・自動化する取り組み」
精密農業は「どう作るか」の技術、スマート農業は「どう農業経営するか」の全体像と言えます。どちらも持続可能で強い農業を支える柱であり、今後ますます重要性を増していく領域です。
スマート農業とは、ICT(情報通信技術)やAI、センサー、ドローン、ロボットなどの先端技術を活用して、農業の生産性・効率・持続可能性を高める取り組みを指します。
従来の経験と勘に頼った農業から、「見える化」「データ化」「自動化」された農業への転換を目指すもので、日本では「スマート農業技術」として国も導入支援を行っています。
この記事では、農業用ドローンと撮影などに使うドローンとの違いや、農業分野でのドローン利活用についてお話ししました。
通信系ソリューションプロバイダーの(株)アイテムが運営する「空ごこち」は、国交省認定登録講習機関のドローンスクールです。ビジネスに必要な国家資格取得に向けた講習はもちろん、認定資格コースも完備。ビジネスに合わせた資格をお選びいただけます。
また講習では点検や測量、空撮、農薬散布などの実践を積んだ講師陣から飛行技術を学べるため、即戦力として活躍できる人材育成が可能です。資格取得後は資格を活かしたジョブチェンジのご相談、ビジネスドローンの導入支援、コンサルティングでドローンパイロットを支援します。
ドローンソリューションプロバイダーとして実績がある「空ごこち」だから、資格取得後のビジョンも明確にご提示が可能です。ドローンのビジネス利活用、資格取得なら、お気軽に「空ごこち」にご相談ください。